19 世紀と言う魅力溢れる時代　　　藤井眞吾

「クラシックギター」という呼び方をしますが、その名の通り19 世紀の古典派からロマン派にかけ ての時代は、ヨーロッパでは「ギター」がとても盛んでした。それは、演奏家の数、作曲家の数、そして出版された楽譜の数から容易に推測する事ができます。なかでも、ウィーンを中心としたオーストリー、ドイツ、そしてパリを中心としたフランス、そしてイタリアからは多 くの優れた演奏家が輩出しました。20 世紀が近くなると、楽器製作者の技術や優れた演奏家の登場も圧倒的にスペインに傾きます。

　19 世紀のギタリスト達がどんな楽器を使い、そしてどんなテクニックで演奏したいたのかと言う、大変興味深い点は残された資料（オリジナルの楽器、演奏家自身が残した教則本、絵画など）からだいたいの事が知る事が出来ますが、実際にどんな演奏をしていたのか、そしてその音色はどんなであったかは推測の域を出ることはありません。いつも思うのですが、本当に「タイムマシン」と言うものが完成したら、私は真っ先にこの時代に行って、彼らの演奏するギターの音色を聞いてみたいと思っています。

　19 世紀のギター音楽のひとつの共通した特徴は、ピアノなどの場合と同様に、「作曲者」は同時に「演奏家」でもあった、ということです。ですから、この時代に書かれた作品はどれもが（必ずしも演奏が容易と言うわけではありませんが）演奏が出来るように書かれており、特に練習曲はとても重要です。またギターの愛好家が沢山いて、その人達の要求を満たすべく、作曲家達は小品を沢山書き、また出版社もそれを要求しました。ギターの作品、とりわけギターをはじめたばかりの、いわゆる「初心者」の人達が勉強する曲は、難しくはないけれども十分に美しく、音楽的であると言うのは、とても幸せなことだと思います。本日はそういった「小品」の数々をお聞き頂きます。

《ワルツ集》よりOp.127-18、Op150-12（F.シューベルト/編曲 藤井眞吾）の楽譜を進呈しました

program●

1.二つの練習曲 《月光》と《夢》（F.ソル）
F.Sor : 2 Studies, Op.35-22 & Op.35-17

2.《二十四の漸進的小品集》よりOp.44（F.ソル）
F.Sor : 13 Pieces from Op.44

3.前奏曲 ホ短調 とアイルランド民謡 《春の日の花と輝く》（M.ジュリアーニ）　
M.Giuliani : Prelude in E-minor　& Irish Air “My lodging is on the cold ground”

4.四つの練習曲（M.カルカッシ）
M.Carcassi : 4 Etudes from Op.60 (No.3, No.10, No.16 & No.19)

5.スイス民謡による変奏曲 Op.44-1（M.カルカッシ）
M.Carcassi : Air Suisse Varie, Op44-1

6.六つの小品（作品32）（F.ソル）
F.Sor : SIX PETITES PIECES
1.- アンダンティーノ Andantino
2.-ワルツ Waltzer
3.- 牧歌的アンダンテ Andante Pastorale
4.-マズルカ Mazurka
5.-アンダンテ Andante
6.-ギャロップ Galop

7.四つのワルツ（F.シューベルト／藤井眞吾 編曲）
F.Schubert : 4 Valses

8.《ギター弾きの休日》より（N.コスト）
N.Coste : Recreation du Guitariste, Op.51
1.- 舟歌 Barcarolle
2.-練習曲 ニ短調 Etude en Re
3.- アンダンティーノ Andantino
4.-ワルツ Valse
5.-哀愁 Melancolie
6.-舟歌 Barcarolle

●チケット/\3000 　当日￥3500　4回券￥10000　6回券￥14000
●主催/ マンサーナ Manzana Tel.075-972-2834
●企画 /藤井眞吾/ http://homepage3.nifty.com/shingogt/
●会場/アートステージ567