ギターの音色は美しいと言われます。私もそれに異論はありません。しかしギターの音の魅力は「美しい」事だけでは、その多彩さこそが重要なポイントだろうと思うのです。ギターほど、奏者による音色の違い、または同じギターでも製作家が違えば音色の違う楽器はないのではないでしょうか。今月はそんなことを考えながら、ギターの音色をお楽しみ頂きたいと思っています。藤井眞吾
program note
「ギターは音色の美しい楽器」だとよく言われますが、私はピアノも、フルートも、バイオリンも、そしてチェロも美しいと思います。オーボエやリュートの音も大好きです。でも、ピアノだからと言って誰の演奏でも好きなわけではありません。フルートだってそうです。楽器を個別に良い音の楽器だとか、そうでないとか言うのは馬鹿げた話だといつも思うのです。ではなぜ、ギターがそのように言われるのでしょうか? 実を言うと私は、特別ギターが音の美しい楽器だとは思っていないのです。少なくとも「美しい音を出すのがとても難しい楽器だ」とは思っているのですが、そしてもうひとつ、ギターほど演奏者によって音色(ねいろ)の違う楽器はないのではないかと思うことです。例えば誰かの演奏を思い浮かべたとき、そこには切り離せない要素として、その演奏家の「音色」をはっきりと思い浮かべているのではないでしょうか? 今日は「音色(ねいろ)」というテーマで色々な曲をお聞き頂くのですが、結局は私の弾く音色をお聞き頂くのだと言う事に、大きな責任も感じています。お楽しみ頂けますように! (藤井眞吾:記/2017年2月18日)
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