update: 2006-01-04


 
琵琶湖リサイタルシリーズ 第10回
竹内太郎・バロック・ギター・リサイタル
三百年前、ギターは典雅に鳴り響いていた・・・
Jan.-30, 2003
Taro Takeuchi, Baroque Guitar Recital,
BIWAKO RECITAL SERIES vol.10, Jan.-30, 2003
BIWAKO RECITAL SERIES vol.10
竹内太郎 バロックギター・リサイタル
Taro Takeuchi, Baroque Guitar

1月30日(木) 7:00PM
会場/琵琶湖ホテル チャペル
主催/マンサーナ 
料金/4,000 yen(限定80席)
予約/075-972-2834(マンサーナ)

●プログラム
・シャコンヌ 二短調 BWV1004
   /J.S.バッハ(竹内太郎編曲)
・フォリアス、マリオナスのシャコンヌ
   /F・コルベッタ
・パヴァーナ、スパニョレッタ、カナリオ
   /G・サンス
・ソナタハ長調
   /G・F・ヘンデル(竹内太郎 編)
・組曲ト長調/N・マテイス


バッハ J.S.Bach も 聞いていたギター


 バッハやヘンデル、ヴィヴァルディ等が活躍していたバロック時代には「バロックギター」と呼ばれるギターが活躍していました。琵琶湖リサイタルシリーズ第10回ではロンドン在住の竹内太郎氏が来日され、CD発売記念のリサイタルを行います。イギリスの Deux-Elles レーベルからリリースされるCDは
「Folias! Virtuos guitar music of C.17th on period instruments」というタイトルで、コルベッタ、サンス、マテイス、ル・コックなど17世紀のオリジナル・ギター曲を収録。琵琶湖リサイタルシリーズでもCDに収録された作品を始めとする、イタリア、フランスなどのバロック時代の音楽をお聞かせいただく予定です。琵琶湖ホテルチャペルに典雅に鳴り響くバロックギターの音色をお楽しみ下さい。

竹内太郎さんのホームページ http://www.crane.gr.jp/~tarolute/


竹内太郎 ● 京都出身。立教大学卒業後、ロンドン市奨学金を得て、ギルドホール音楽院大学院で学ぶ。ナイジェル・ノースに師事。ディプロマを得て古楽科修了後は、ソリスト・通奏低音奏者として国際的に活躍。1997年度文化庁海外派遣芸術家。これまでにサイモン・ラトル、オーケストラ・オブ・エンライトメント、ナイジェル・ケネディ、ベルリン・フィルハーモニー、キングズ・コンソート、パーレイ・オブ・インスツルメンツ、グラインドボーン・オペラ、などと共演。CD録音多数。英国リュート協会理事、日本リュート・アーリーギター協会ディレクター、現在ロンドン在住 。

ギターと古楽器の狭間で

竹内太郎

 十数年前、僕は悩んでいました。 右手の爪を切るか切るまいか悩んでいたのです。 ・・・おっと、「夜、爪を切ると親の死に目に・・・」ということが理由ではありません。 デビューしたてのクラシックギタリストで、古楽器リュートも弾いていた僕が、その両立に苦労していたのです。 現代のクラシックギターはある程度長く伸ばした爪で弾弦しますが、リュートなど古楽器は爪を短く切り指頭を使うのが正しいとされていました。その後、必ずしもそうでないことも知りましたが、指頭を使用したほうが綺麗な音を出しやすかったのは事実です。
 ギターも好きだが、古い音楽にも多いに興味を持っていた自分は困りました。すでに両方の楽器を演奏活動に用いていましたが、このままでは、ギターはだんだん下手になる気がするし、リュートでは良い音を出せそうにありません。二兎を追う者は一兎をも得ず、千里の道も一歩から、能あるブタの爪はチョキ。
  「じゃけんどのう、爪切ってもうたら、おまんま食いあげやもんねー」と頑迷に抵抗するギタリスト部分の自分に、「あなたは正しいバロック音楽の使徒となるべく選ばれたのです」と光輪を頭上に持つ御使いが毎夜訪れます。 そうして、やっぱり楽器の使い分けに苦労してしまったある演奏会の後、痛飲した(ビール小瓶二本くらいね)僕は、バキバキと爪を切ってしまったのです・・・ 翌朝、痛む頭で考えたのは、「ああ、あたし、とうとうギターを弾けない体になってしまったわ。せめて爪が生え揃うまで綺麗な音でリュートを楽しむしかないわね」ということ。 捨てる神あれば拾う神あり、人生苦もありゃ楽もある、努力の結晶シシュポスの神話(おっと、これは間違い!)。爪を切ってから暫くの間、なんというか、こそばゆい嬉しハズカシ的感覚が右手指先につきまとってました。いわばアンダーウエアを着けずに街を歩いているような・・・といえばお分かりいただけるでしょうか?(分かると答えたアナタ、経験ございます?) そして、ガーン!なんと、爪を切ってもリュートは良い音で鳴らないのです!ああ、どうしたことでしょう。どうしたら良いのでしょう!ふたまたやめた途端に本命の彼女から振られたみたい・・・(経験ナシ、念のため)。
 ・・・ともあれ、これがある種のきっかけとなって、古い音楽を学ぶための渡欧を本格的に考え始めたのでした。
そうして今、リュートだけではなく、バロック時代や一九世紀のギター音楽も古楽器で演奏することが出来るのは、大変幸福なことです。思えばこれもミューズとテルプシコーレの神の深遠なご計画の一つだったのですね、ハハー(伏し拝む)。
 来る一月三十日の琵琶湖ホテル・チャペルでの演奏会では、自分がここ数年最も興味を持っている17、8世紀のギター音楽を、当時のオリジナル楽器で演奏します。
どうぞヨロシク!(と右手親指を立てる、イェーイ!)

 2002年11月 ロンドンにて

PORTRAIT
BIWAKO RECITAL SERIES vol.10
   
 
T.Takeuchi with his fans.

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